在宅で過ごす高齢者や障害者の食事、更衣、移動、排泄、入浴といった基本的な行動を支えて、QOLや安全な暮らしを守るためには適切な居住環境や福祉用具の整備が大切です。そのため、介護職が在宅介護に関わる場合には、高齢者や障害者の身体的機能の低下を考慮に入れた住まいについての専門的な知識の習得することが求められています。そこで、最近注目を集めているのが、東京商工会議所が試験を実施している福祉住環境コーディネーターの資格です。

福祉住環境コーディネーターの資格は1級から3級まで設定されていて、2級と3級には特に受験資格の制限はありませんが、1級を受験する場合には2級合格者であることが条件となります。試験では介護をとりまく全般的な知識はもちろんのこと、福祉住環境整備や福祉用具についての専門的な知識や、選定に関する総合的判断力も求められます。合格率は3級では50%前後となりますが、2級は30%前後、1級は10%前後となっていて、上位の級ほど合格率が低くなっているので、公式テキストや過去問題集での入念な準備が必要です。福祉住環境コーディネーターの資格を取得後は、専門的な立場から高齢者や障害者に快適な住環境のアドバイスをすることができるようになり、2級以上では住宅改修に伴う必要書類の作成も可能です。さらに、1級になると地域福祉や介護施設の住環境整備に関わるための知識やノウハウが習得でき、介護職に携わる人の仕事の幅を広げることができるのも魅力。このように、自身のスキルアップにもつながるのが、福祉住環境コーディネーターの特徴といえるでしょう。